実務経験を証明する書類の保管期限

みそらくん

本日は書類の保管期限について説明していくよ!

 

実務経験が必要になるケース

建設業許可を取る準備をしていて、過去の事業の実績を証明するために契約書や請求書、預金通帳などのご用意をお願いすることがあります。過去の実績を証明する必要があるのは、経営業務管理責任者と国家資格等をお持ちでない場合の専任技術者です。

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経営業務管理責任者は原則5年、補佐経験の場合には6年です。専任技術者は学歴に応じて実務経験年数が必要です。専任技術者は最長で10年間、途切れることなく証明が必要になります。新しく許可を取る以外に専任技術者が交代をする、というタイミングにおいても必要です。

 

保管期限の壁

過去の実績を10年前まで遡っていくと、8年前~10年前(古い方の3年間)について、書類を保管されていない事業者様がいらっしゃいます。場合によっては、パソコン内のデータでの保管でも構いませんが、完全に廃棄していた場合、建設業許可の取得が非常に難しくなります。

この問題に陥ることを、私は個人的に「7年の壁」と呼んでいるのですが、あらためて法令を当ってみると書類の保管期限には様々な規定があります。

 

関係法令の規定(当社調べ)

(国税庁№5930)
事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から原則7年間保存
平成30年4月1日以後に開始する欠損金の生ずる事業年度においては10年間に延長

(建設業法施行規則第28条)
目的物を引き渡した時から原則5年間
発注者と締結した住宅を新築する建設工事に係るものにあつては10年間
 
(宅地建物取引業法施行規則第18条)
取引台帳の保存は、事業年度終了後5年間
 
(建築士法施行規則第21条)
業務に関する帳簿および図書の保存は、作成してから15年間

 

建設業法令における義務

建設業者は、営業所ごとに、その営業に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載した帳簿を備え、かつ、当該帳簿及びその営業に関する図書を保存しなければなりません。(建設業法第40条の3参照)

 

帳簿の保存期間は5年で、記載内容は次のとおりです。

※発注者(宅地建物取引業法に規定する宅地建物取引業者を除く。)と締結した住宅を新築する建設工事に関するものについては10年間保存しなければなりません。

【1】営業所の代表者の氏名及びその就任日


【2】注文者と締結した建設工事の請負契約に関する以下の事項
 (1)請け負った建設工事の名称、工事現場の所在地
 (2)注文者との契約日
 (3)注文者の商号、住所、許可番号
 (4)注文者による完成を確認するための検査が完了した年月日
 (5)当該建設工事の目的物の引渡しをした年月日


【3】下請契約に関する事項
 (1)下請負人に請け負わせた建設工事の名称、工事現場の所在地
 (2)下請負人との契約日
 (3)下請負人の商号、住所、許可番号
 (4)建設工事の完成を確認するための検査を完了した年月日
 (5)当該建設工事の目的物の引渡しを受けた年月日

 

帳簿の添付書類は以下のとおりです。

【1】契約書又はその写し


【2】特定建設業の許可を受けている者が注文者(元請工事に限らない。)となって一般建設業者(資本金が4,000万円以上の法人企業を除く。)に建設工事を下請負した場合には、下請代金の支払済額、支払った年月日及び支払い手段を証明する書類(領収書等)又はその写し


【3】建設業者が施工体制台帳を作成したときは(元請工事に限る。)、工事現場に据え付ける施工体制台帳の以下の部分。(工事完了後に施工体制台帳から必要な部分のみを抜粋します。)
 (1)当該工事に関し、実際に工事現場に置いた主任技術者又は監理技術者の氏名、有する主任技術者資格又は監理 技術者資格
 (2)監理技術者補佐を置いたときは、その者の氏名、有する監理技術者補佐資格
 (3)主任技術者若しくは監理技術者又は監理技術者補佐以外に専門技術者を置いたときは、その者の氏名、その者が管理を担当した建設工事の内容、有する主任技術者資格
 (4)下請負人(末端までの全業者を指しています。以下同じ。)の商号、許可番号
 (5)下請負人に請け負わせた建設工事の内容、工期
 (6)下請業者が実際に工事現場に置いた主任技術者の氏名、有する主任技術者資格
 (7)下請負人が主任技術者以外に専門技術者を置いたときは、その者の氏名、その者が管理を担当した建設工事の内容、有する主任技術者資格

※書類の添付に代えて、スキャナで読み取って記録し、当該営業所で表示する方法でも可

 

営業に関する図書の保存期間は10年で、その内容は次のとおりです。

【1】完成図
建設工事の目的物の完成時の状況を表した完成図を作成した場合又は発注者から提供された場合には、その完成図を保存しなければなりません。


【2】発注者との打合せ記録
打合せ(方法(対面、電話等)の別は問わない)が工事内容に関するもので、かつ、記録を発注者との間で相互に交付した場合には、その記録を保存しなければなりません。


【3】施工体系図
施工体系図を作成しなければならない作成建設業者は、重層化した下請構造の全体像が明らかとなる施工体系図を保存しなければなりません。

※対象となる業者は元請け業者に限ります

 

帳簿保存義務違反の罰則について

帳簿を備え付けていない、帳簿等に必要事項を記載していない、帳簿や図書の保存がされていない場合には10万円以下の罰金が科せられることになります。

建設業法上違反となる行為の事例

(1)建設業を営む営業所に帳簿及び添付書類が備付けられていなかった場合

(2)帳簿及び添付書類は備付けられていたが、5年間保存されていなかった場合

(3)発注者から直接請け負った建設工事の完成図等の営業に関する図書が、10年間保存されていなかった場合 ※平成20年11月28日以降に工事目的物の引渡しをしたものに限る。

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まとめ

国税庁の「事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から原則7年間保存」という規定により、一般的に「書類の保管期限は7年」という認識が浸透していると感じます。

しかし関連業法の規定もきちんと把握したうえで保存すべきだと思います。ここに記載した範囲では、建設業法令および会社法を念頭におくと、会計帳簿と営業に関する重要な資料については、建設業を営む方は、10年間の保存を徹底することが肝要ではないでしょうか。

 

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