登録の現状
建設キャリアアップシステムの登録状況は、技能者登録については約100万人で全技能者の3分の1ほどと言われています。
事業者登録については、建設市場全体の元請完成工事高に注目すると、その3分の2を担う元請企業が既に事業者登録を済ませている、という調査結果が出ています。
また職種別の技能者登録を国勢調査における技能者数と比較した資料によりますと、配管技能者の45%、電気工事従事者の34%、大工の13%の割合が既に技能者登録を済ませている、という調査結果が出ています。
2023年11月末時点の運営状況について(2023年12月15日追記)
2023年11月登録数
■技能者:21,532人
■事業主:3,105社
2023年11月末まで登録数
■技能者:1,327,450人
■事業主:247,452社
2023年11月の利用状況
■新規登録現場数:4,578
■就業履歴数:4,886,714
レベル向上判定の仕組み
いまのところ未登録の事業者、技能者は住宅建築業界の方の割合が多いといわれている中で、今年は大手ハウスメーカーの動きが注目されています。
そうした状況の中で、技能者登録が遅れることのデメリットをいくつか考察してみましたが、今回はその中の一つ「就業日数の経過措置が受けられなくなる」という問題について触れてみます。建設キャリアアップシステムの技能者登録は4段階のレベルに分かれています。
レベル1.初級技能者 カード白
レベル2.中級技能者 カード青
レベル3.職長レベル カード銀
レベル4.マネジメント カード金
国としては、レベルが上がるにつれて労務費が上がる、つまり職人さんの給料が上がって、処遇が改善される、若い人が入職しやすくなる、ことを目指しています。レベル向上判定を受けるためには、職種ごとの能力評価基準に沿って能力評価実施団体に申請をしますが、どの職種にも共通のポイントが3つあります。
1.保有資格、講習
2.就業日数
3.経験日数(職長・班長)
就業日数と経験日数についての注意点
このうち就業日数、経験日数について、原則として「建設キャリアアップシステムに技能者として蓄積した日数」とされています。ただ当面の間はシステムに加えて「所属業者による経歴証明」も活用する、とされています。つまり建設キャリアアップシステムが普及するまでは、技能者を雇用している企業の申告による日数を採用しますよ、という救済措置を設けているのです 。
※2023年6月14日「建設技能者の能力評価制度に関するガイドライン」に改正がありました。2024年3月31日までの就業履歴の申請に限り経歴証明※の提出期間を2029年3月31日までに延長します。これまでは提出期限を2024年3月末までとしていましたが2024年3月31日までの就業年数・マネジメント経験を申請する場合に限り2029年3月31日まで提出が認められます。
前置きが長くなりましたが、建設キャリアアップシステムの技能者登録が遅れると、レベル向上判定で正規の評価が受けられない、将来、職人さんの処遇改善が受けられない可能性が生じる、という問題があるのです。
※経歴証明とは 建設キャリアアップシステム利用前から従事している技能者の経験は建設キャリアアップシステムに蓄積されていないため、評価がされません。システム利用開始以前の就業日数は所属事業者が証明することにより過去の就業日数の証明ができます。