令和6年4月1日より、施工管理技術検定の受験資格に変更があり、これまでよりも多くの方が受験できるようになりました。新しい受験資格では、一次試験に関して学歴や実務経験の制限がなくなり、2級は17歳以上、1級は19歳以上の方であれば受験が可能です。(二次試験は一次試験合格後に実務経験が必要です。)なお、令和10年までは従来の「旧受験資格」での受験も可能です。
ベテランの方は、令和10年までに受験する方が、それまでの実務経験年数をフルに活用できるため、有利だと思います。それ以降は、若手と同じように一次試験に合格し、一定の年数が経過する必要があるため、短期間で一気に二次試験まで合格することが難しくなります。今回は、「旧受験資格」における実務経験について詳しく解説いたします。
電気通信工事施工管理技術検定とは?
電気通信工事施工管理技術検定は、建設工事に従事する施工技術の確保、向上を図ることにより、資質を向上し、建設工事の適正な施工の確保に資するもので、国土交通大臣指定試験機関である一般財団法人全国建設研修センターが実施する国家試験です。
電気通信工事施工管理技術検定は、令和3年度から第一次検定及び第二次検定によって行われ、第一次検定合格者は「電気通信工事施工管理技士補」、第二次検定合格者は「電気通信工事施工管理技士」の国家資格を取得することができます。
◇1級 第一次検定合格者:1級電気通信工事施工管理技士補
◇1級 第二次検定合格者:1級電気通信工事施工管理技士
◇2級 第一次検定合格者:2級電気通信工事施工管理技士補
◇2級 第二次検定合格者:2級電気通信工事施工管理技士
令和6年度 資格取得までの流れ
令和6年度の電気通信工事施工管理技士・技士補 資格取得までのスケジュールは以下のとおりです。
◇1級電気通信工事施工管理技士・技士補
①令和6年5月7日(火)~5月21日(火) 受験申込み
②9月1日(日) 第一次検定
③10月3日(木) 第一次検定合格発表
↓
第一次検定合格証明書交付申請(1級電気通信工事施工管理技士補)
↓
第一次検定合格証明書交付(令和6年11月下旬以降発送予定)
④10月3日(木)~10月17日(木) 第二次検定受験手続き
⑤12月1日(日)第二次検定
⑥令和7年3月5日(木) 第二次検定合格発表
↓
第二次検定合格証明書交付申請(1級電気通信工事施工管理技士)
↓
第二次検定合格証明書交付(令和7年3月下旬以降発送予定)
◇2級電気通信工事施工管理技士・技士補
①令和6年5月7日(火)~5月21日(火) 受験申込み
②9月1日(日) 第一次検定
③10月3日(木) 第一次検定合格発表
↓
第一次検定合格証明書交付申請(1級電気通信工事施工管理技士補)
↓
第一次検定合格証明書交付(令和6年11月下旬以降発送予定)
④10月3日(木)~10月17日(木) 第二次検定受験手続き
⑤12月1日(日)第二次検定
⑥令和7年3月5日(木) 第二次検定合格発表
↓
第二次検定合格証明書交付申請(1級電気通信工事施工管理技士)
↓
第二次検定合格証明書交付(令和7年3月下旬以降発送予定)
受験に必要な実務経験とは?
電気通信工事施工管理技士試験を受験するには受験資格として、実務経験を満たしている必要があります。具体的には次の①~③をいいます。
① 受注者(請負人)として施工を指揮・監督した経験(施工図の作成や、補助者としての経験も含みます)
② 発注者側における現場監督技術者等(補助者としての経験も含む)としての経験
③ 設計者等による工事監理の経験(補助者としての経験も含みます)
具体的な「工事種別」「工事内容」については次のとおりです。
実務経験として認められる工事種別・工事内容について
有線電気通信設備工事
1.通信ケーブル工事 2.CATV ケーブル工事 3.伝送設備工事 4.電話交換設備工事
無線電気通信設備工事
1.携帯電話設備工事(携帯局を除く) 2.衛星通信設備工事(可搬地球局を除く) 3.移動無線設備工事(移動局を除く) 4.固定系無線設備工事 5.航空保安無線設備工事 6.対空通信設備工事 7.海岸局無線設備工事 8.ラジオ再放送設備工事 9.空中線設備工事
ネットワーク設備工事
1.LAN 設備工事 2.無線 LAN 設備工事 3.公衆無線 LAN 設備工事 4.インターネット設備工事 5.イントラネット設備工事 6.ネットワークセキュリティ設備工事
情報設備工事
1.監視カメラ設備工事 2.コンピュータ設備工事 3.AI(人工知能)処理設備工事 4.映像・情報表示システム工事 5.案内表示システム工事 6.監視制御システム工事 7.河川情報システム工事 8.道路交通情報システム工事 9.ETC 設備工事(車両取付を除く) 10.指令システム工事 11.センサー情報収集システム工事 12.テレメータ設備工事 13.水文・気象等観測設備工事 14.レーダ雨量計設備工事 15.監視レーダ設備工事 16.ヘリコプター映像受信基地局設備工事 17.道路情報表示設備工事 18.放流警報設備工事 19.非常警報設備工事 20.信号システム工事 21.計装システム工事 22.入退室管理システム工事 23.インターホン設備工事 24.ナースコール設備工事 25.デジタルサイネージ設備工事
放送機械設備工事
1.放送用送信設備工事 2.放送用中継設備工事 3.FPU 受信基地局設備工事 4.放送用製作・編集・送出システム工事 5.CATV 放送設備工事 6.テレビ共同受信設備工事 7.構内放送設備工事 8.テレビ電波障害防除設備工事
実務経験と認められない工事について
電気通信工事施工管理の実務経験と認められない工事は次のとおりです。
電気通信設備取付
自動車・鉄道車両・建設機械・船舶・航空機等における電気通信設備の取付工事
土木工事
通信管路(マンホール・ハンドホール)敷設工事、とう道築造工事、地中配管埋設工事
電気設備工事
発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、受変電設備工事、構内電気設備工事(非常用電気設備を含む)、照明設備工事、電車線工事、ネオン装置工事
鋼構造物工事
通信鉄塔工事
機械器具設置工事
プラント設備工事、エレベータ設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事、 集塵機器設置工事、給排気機器設置工事、揚排水(ポンプ場)機器設置工事、ダム用仮設工事、遊技施設設置工事、舞台装置設備工事、サイロ設置工事、立体駐車場設備工事
消防施設工事
消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、水噴霧・泡・不燃ガス・蒸発性液体又は粉末による消火設備工事、動力消防ポンプ設置工事、漏電火災警報設備工事
その他
ケーブルラック・電線管等の配管工事
実務経験と認められない業務・作業について
電気通信工事施工管理の実務経験と認められない業務・作業は次のとおりです。
① 設計(積算を含む)、保守、点検、維持メンテナンス、営業、事務などの業務
② 官公庁における行政及び行政指導、教育機関及び研究所等における教育・指導及び研究等
③ 工程管理、品質管理、安全管理等を含まない雑役務のみの業務、単純な労務作業等
④ 据付調整を含まない工場製作のみの工事、製造及び購入
⑤ 撤去のみの工事
⑥ アルバイトによる作業員としての経験
※ 上記の業務以外でも、その他電気通信工事施工管理の実務経験とは認められない業務・作業等は、全て受検できません。
旧受験資格と新受験資格の必要な実務経験年数について
2級 旧受験資格
旧受験資格、新受験資格ともに、第一次検定は受験年度末時点で17歳以上であれば受験することができます。第二次検定については、旧受験資格では最終学歴の卒業後の実務経験年数が、新受験資格では検定合格後の実務経験年数が要件となっております。
学歴 | 第一次検定 | 第二次検定 |
大学(指定学科) | 17歳以上(受験年度末時点) | 卒業後、実務経験1年以上 |
短大・高専(指定学科) | 17歳以上(受験年度末時点) | 卒業後、実務経験2年以上 |
高校(指定学科) | 17歳以上(受験年度末時点) | 卒業後、実務経験3年以上 |
大学(指定学科以外) | 17歳以上(受験年度末時点) | 卒業後、実務経験1.5年以上 |
短大・高専(指定学科以外) | 17歳以上(受験年度末時点) | 卒業後、実務経験3年以上 |
高校(指定学科以外) | 17歳以上(受験年度末時点) | 卒業後、実務経験4.5年以上 |
上記以外 | 17歳以上(受験年度末時点) | 実務経験8年 |
2級 新受験資格
第一次検定 | 第二次検定 |
17歳以上(受験年度末時点) | ◇2級第一次検定合格後、実務経験3年以上(建設機械種目については2年以上) ◇1級第一次検定合格後、実務経験1年以上 |
1級 旧受験資格
旧受験資格では、最終学歴に応じて必要な実務経験の年数が異なります。いずれの場合も、実務経験の中に1年以上の指導監督的な実務経験を含める必要があります。令和10年度までの間は、旧受験資格要件による受験が可能です。新受験資格においては、第一次検定は受験年度末時点で19歳以上であれば受験することができます。
学歴・保有資格 | 第一次検定 | 第二次検定 |
大学(指定学科) | 卒業後、実務経験3年以上 | 卒業後、実務経験3年以上 |
短大・高専(指定学科) | 卒業後、実務経験5年以上 | 卒業後、実務経験5年以上 |
高校(指定学科) | 卒業後、実務経験10年以上 | 卒業後、実務経験10年以上 |
大学(指定学科以外) | 卒業後、実務経験4.5年以上 | 卒業後、実務経験4.5年以上 |
短大・高専(指定学科以外) | 卒業後、実務経験7.5年以上 | 卒業後、実務経験7.5年以上 |
高校(指定学科以外) | 卒業後、実務経験11.5年以上 | 卒業後、実務経験11.5年以上 |
2級合格者 | 条件なし | 2級合格後、実務経験5年以上 (1級第一次検定合格者に限る) |
上記以外 | 実務経験15年以上 | 実務経験15年以上 |
1級 新受験資格
第一次検定 | 第二次検定 |
19歳以上(受験年度末時点) | ◇1級第一次検定合格後、 ・実務経験5年以上 ・特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上 ・監理技術者補佐としての実務経験1年以上 ◇2級第二次検定合格後、 ・実務経験5年以上(1級第一次検定合格者に限る) ・特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上(1級第一次検定合格者に限る) ※第一次検定合格については、令和3年度以降の第一次検定合格が対象 |
お問い合わせ先
国土交通大臣指定試験機関
一般財団法人 全国建設研修センター 電気通信工事試験部
〒187-8540 東京都小平市喜平町2-1-2
TEL 042-300-0205
ホームページアドレス https://www.jctc.jp/
監理技術者・主任技術者になれる業種について
◇監理技術者とは?
発注者から直接工事を請け負い(元請)、かつ4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上を下請契約して施工する特定建設業者にあっては、監理技術者を設置しなければなりません。
監理技術者の仕事は、施工計画の作成、工程管理、品質管理などの技術的な管理や、工事を行う人たちの指導と監督です。監理技術者は、下請負人を適切に指導・監督するという重要な役割を持っているため、主任技術者よりも厳しい資格や経験が求められます。
◇1級電気通信工事施工管理技士が監理技術者になれる業種について
電気通信工事業
◇主任技術者とは?
建設業者は、請け負った建設工事を施工する際、請負金額の大小や元請・下請に関わらず、必ず工事現場に施工の技術管理を担当する主任技術者を配置しなければなりません。ただし、特定専門工事において主任技術者の配置が不要となる下請負人はこの限りではありません。
◇1級・2級電気通信工事施工管理技士が主任技術者になれる業種について
電気通信工事業
経審(経営事項審査)での加点について
電気通信工事施工管理技士がいることで、経審のZ点が向上します。Z点は「技術職員数」と「元請完成工事高」という項目で評価されますが、その中でも「技術職員数」が全体の80%を占める重要な要素です。つまり、技術職員の人数が多いほど、より高い評価を得ることができます。
1級電気通信工事施工管理技士
【5点】電気通信工事業
2級電気通信工事施工管理技士
【2点】電気通信工事業
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