2級建築施工管理 旧受験資格の実務経験を徹底解説!

令和6年4月1日より、施工管理技術検定の受験資格に変更があり、これまでよりも多くの方が受験できるようになりました。新しい受験資格では、一次試験に関して学歴や実務経験の制限がなくなり、2級は17歳以上、1級は19歳以上の方であれば受験が可能です。(二次試験は一次試験合格後に実務経験が必要です。)なお、令和10年までは従来の「旧受験資格」での受験も可能です。

ベテランの方は、令和10年までに受験する方が、それまでの実務経験年数をフルに活用できるため、有利だと思います。それ以降は、若手と同じように一次試験に合格し、一定の年数が経過する必要があるため、短期間で一気に二次試験まで合格することが難しくなります。今回は、「旧受験資格」における実務経験について詳しく解説いたします。

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建築施工管理技術検定とは?

建築施工管理技術検定は、建設工事に携わる技術者のスキル向上を目指した検定です。この検定は、国土交通大臣の指定を受けた一般財団法人建設業振興基金が実施しています。

検定は二段階に分かれています。最初の段階である第一次検定に合格すると、「1級施工管理技士補」の資格が得られます。そして、次の段階である第二次検定に合格すると、「1級施工管理技士」の国家資格を取得することができます。
1級との違いは、検定の種別が3種類あり、それぞれの種別ごとに必要な実務経験が異なることです。

 

 

令和6年度 2級建築施工管理検定 スケジュール

◇前期 第一次検定
①2月9日(金)~3月8日(金) 申込受付期間
②6月9日(日) 試験日
③7月10日(水) 合格発表

◇後期 第一次検定のみ受験
 ①6月26日(水)~7月24日(水) 申請受付期間
 ②11月24日(日) 試験日
 ③令和7年1月10日(金) 合格発表日

◇第一次・第二次検定同時受験
 ①7月10日(水)~7月24日(水) 申請受付期間
 ②11月24日(日) 試験日
 ③令和7年1月10日(金) 第一次 合格発表
 ④令和7年2月7日(金) 第二次 合格発表

◇後期 第二次検定のみ受験
 ①7月10日(水)~7月24日(水) 申請受付期間
 ②11月24日(日) 試験日
 ③令和7年2月7日(金) 第二次 合格発表

 

 

受験に必要な実務経験とは?

建築施工管理技士験を受験するには受験資格として、実務経験を満たしている必要があります。具体的には次の①~③をいいます。

①施工管理

工事請負者の従業員(派遣・出向等により一時的に請負者に所属する場合を含む)として請負工事の施工を管理した経験(工程管理、品質管理、安全管理等を含む)

②設計監理

工事監理業務等受託者の従業員として対象工事の工事監理を行った経験(設計及び監理業務の一括受注の場合、工事監理業務期間のみ)

③施工監督
工事発注者(施主)の従業員として発注工事の施工を指導・監督した経験(現場監督技術者等)

 

 

実務経験として認められる工事種別・工事内容について

建築施工管理の実務経験として認められる工事種別・工事内容は、受験種別により異なります。

 

【検定種別:建築】

◆建築一式工事の実務経験

工事種別
・建築一式工事

主な工事内容
・事務所ビル建築工事
・共同住宅建築工事
・一般住宅建築工事
・大規模修繕工事
・建築物解体工事(※総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を解体する工事) 等

 

【検定種別:躯体】

◆建築工事のうち主要構造部分に関する実務経験

工事種別
大工工事、型枠工事、とび・土工・コンクリート工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、ブロック工事、解体工事

主な工事内容
大工工事、型枠工事、足場仮設工事、囲障工事、コンクリート工事、鉄骨工事、鉄筋工事、ガス圧接工事、とび工事、ブロック積み工事、建築物解体工事、杭工事、地盤改良工事、屋外広告工事 等

 

【検定種別:仕上げ】

◆建築工事のうち内外装に関する実務経験

工事種別
造作工事、左官工事、石工事、屋根工事、タイル・レンガ工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内、仕上工事、建具工事、熱絶縁工事

主な工事内容
造作工事、レンガ積み工事、ALCパネル工事、サイディング工事、左官工事、モルタル工事、吹き付け工事、とぎ出し工事、洗い出し工事、石積み(張り)工事、エクステリア工事、屋根葺き工事、建築板金工事、ガラス加工取り付け工事、塗装工事、アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリング工事、塗膜防水工事、シート防水工事、注入防水工事、インテリア工事、天井仕上工事、壁張り工事、内部間仕切り壁工事、床仕上工事、畳工事、ふすま工事、家具工事、防音工事、金属製建具取付工事、サッシ取付工事、金属製カーテンウォール取付工事、シャッター取付工事、木製建具取付工事、建築断熱工事 等

 

 

実務経験と認められない工事について

土木一式工事
トンネル、橋梁、歩道橋、地下道、鉄道、線路、プラットホーム、ダム、河川、護岸、港湾土木、閘門、水門等門扉設置、道路、舗装、下水道、下水道管埋設、農業用道路、農業用水路、しゅんせつ、造園、さく井 等の工事

電気工事
発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備、引込線、電車線、信号設備、ネオン装置 等の工事

管工事
冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更生工事、水道施設工事、浄水施設工事、排水処理施設工事、下水処理施設設備工事、ごみ処理施設工事、し尿処理施設工事 等
の工事

熱絶縁工事
冷暖房設備・冷凍冷蔵設備・動力設備又は燃料工業、化学工業等の設備の熱絶縁工事

電気通信工事
電気通信線路設備工事、電気通信機械設置工事、放送機械設置工事、放送設備工事、アンテナ設備工事、空中線設備工事、携帯電話設備工事、データ通信設備工事、情報制御設備工事、TV電波障害防除設備工事、CATVケーブル工事、コンピューター機器設置工事 等の工事

機械器具設置工事
プラント設備工事、エレベーター設備工事、運搬機器設置工事、集塵機器設置工事、給排気機器設置工事、揚排水(ポンプ場)機器設置工事、ダム用仮設工事、遊技施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車設備工事 等の工事

消防施設工事
屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、水噴霧・泡・不燃ガス・蒸発性液体又は粉末による消火設備工事、屋外消火栓設置工事、動力消防ポンプ設置工事、火災報知設備工事、漏電火災警報器設置工事、非常警報設備工事、金属製避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋又は排煙設備の設置工事 等の工事

 

 

実務経験と認められない業務・作業について

建築施工管理の実務経験と認められない業務・作業は次のとおりです。

・工事着工以前における設計者としての基本設計、実施設計のみの業務
・設計、積算、保守、点検、維持、メンテナンス、事務、営業などの業務
・測量地盤調査業務、工事現場の事務、積算、営業等の業務
・工事における雑役務のみの業務、単純な労働作業など
・研究所、教育機関、訓練所等における研究、教育または指導等の業務
・入社後の研修期間
・人材派遣による建設業務(土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊もしくは解体の作業またはこれらの準備の作業に直接従事した業務は、労働者派遣事業の適用除外の業務のため不可。ただし建築工事の施工管理業務は除きます。)

 

 

旧受験資格と新受験資格の必要な実務経験年数について

旧受験資格

旧受験資格、新受験資格ともに、第一次検定は受験年度末時点で17歳以上であれば受験することができます。第二次検定については、旧受験資格では最終学歴の卒業後の実務経験年数が、新受験資格では検定合格後の実務経験年数が要件となっております。

学歴第一次検定第二次検定
大学(指定学科)17歳以上(受験年度末時点)卒業後、実務経験1年以上
短大・高専(指定学科)17歳以上(受験年度末時点)卒業後、実務経験2年以上
高校(指定学科)17歳以上(受験年度末時点)卒業後、実務経験3年以上
大学(指定学科以外)17歳以上(受験年度末時点)卒業後、実務経験1.5年以上
短大・高専(指定学科以外)17歳以上(受験年度末時点)卒業後、実務経験3年以上
高校(指定学科以外)17歳以上(受験年度末時点)卒業後、実務経験4.5年以上
上記以外17歳以上(受験年度末時点)実務経験8年以上
 

新受験資格

第一次検定第二次検定
17歳以上(受験年度末時点)◇2級第一次検定合格後、実務経験3年以上(建設機械種目については2年以上)

◇1級第一次検定合格後、実務経験1年以上
 

 

 

お問い合わせ先

一般財団法人建設業振興基金 試験研修本部
〒105-0001 東京都港区虎ノ門4丁目2−12
虎ノ門4丁目MTビル2号館
TEL:03-5473-1581
www.fcip-shiken.jp

 

 

主任技術者になれる業種について

 

◇主任技術者とは?

建設業者は、請け負った建設工事を施工する際、請負金額の大小や元請・下請に関わらず、必ず工事現場に施工の技術管理を担当する主任技術者を配置しなければなりません。ただし、特定専門工事において主任技術者の配置が不要となる下請負人はこの限りではありません。

 

◇2級建築施工管理技士が主任技術者になれる業種について

※( )内の数字は、資格取得後に必要な当該業種での実務経験年数を示しています。

検定種別:建築

建築、解体(解体工事業:平成27年度までの合格者は、資格とは別に、解体工事に関する1年以上の実務経験を有している又は登録解体工事講習を受講していることが必要です。)

大工(5年)、左官(5年)、とび・土工・コンクリート(5年)、石(5年)、屋根(5年)、タイル・レンガ(5年)、鉄筋(5年)、板金(5年)、ガラス(5年)、塗装(5年)、防水(5年)、内装仕上(5年)、機械器具設置(5年)、熱絶縁(5年)、建具(5年)、水道施設(5年)、消防施設(5年)、清掃施設(5年)

 

検定種別:躯体

大工、とび・土工・コンクリート、タイル・レンガ、鋼構造物、鉄筋、解体(解体工事業:平成27年度までの合格者は、資格とは別に、解体工事に関する1年以上の実務経験を有している又は登録解体工事講習を受講していることが必要です。)

左官(5年)、石(5年)、屋根(5年)、板金(5年)、ガラス(5年)、塗装(5年)、防水(5年)、内装仕上(5年)、機械器具設置(5年)、熱絶縁(5年)、建具(5年)、水道施設(5年)、消防施設(5年)、清掃施設(5年)

 

検定種別:仕上げ

大工、左官、石、屋根、タイル・レンガ、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、熱絶縁、建具

とび・土工・コンクリート(5年)、鉄筋(5年)、機械器具設置(5年)、水道施設(5年)、消防施設(5年)、清掃施設(5年)、解体(5年)

 

 

経審(経営事項審査)での加点について

建築施工管理技士や技士補がいることで、経審のZ点が向上します。Z点は「技術職員数」と「元請完成工事高」という項目で評価されますが、その中でも「技術職員数」が全体の80%を占める重要な要素です。つまり、技術職員の人数が多いほど、より高い評価を得ることができます。

1級建築施工管理技士
【5点】建築、大工、左官、とび・土工・コンクリート、石、屋根、タイル・レンガ、鋼構造物、鉄筋、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、熱絶縁、建具、解体
【1点】機械器具設置、水道施設、消防施設、清掃施設

1級建築施工管理技士補
【1点】大工、左官、とび・土工・コンクリート、石、屋根、タイル・レンガ、鉄筋、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、機械器具設置、熱絶縁、建具、水道施設、消防施設、清掃施設、解体

2級建築施工管理技士(建築)
【2点】建築、解体
【1点】大工、左官、とび・土工・コンクリート、石、屋根、タイル・レンガ、鉄筋、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、機械器具設置、熱絶縁、建具、水道施設、消防施設、清掃施設

2級建築施工管理技士(躯体)
【2点】大工、とび・土工・コンクリート、タイル・レンガ、鋼構造物、鉄筋、解体
【1点】左官、石、屋根、板金、ガラス、塗装、防水、内装、機械器具設置、熱絶縁、建具、水道施設、消防施設、清掃施設

2級建築施工管理技士(仕上げ)
【2点】大工、左官、石、屋根、タイル・レンガ、板金、ガラス、塗装、防水、内装、熱絶縁、建具
【1点】とび・土工・コンクリート、鉄筋、機械器具設置、水道施設、消防施設、清掃施設、解体

2級施工建築管理技士補
【1点】大工、左官、とび・土工・コンクリート、石、屋根、タイル・レンガ、鉄筋、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、機械器具設置、熱絶縁、建具、水道施設、消防施設、清掃施設、解体

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