建設業に特有の勘定科目と令和7年 建設業経理士試験について

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経営審査の準備をしていて前期に発注者から受領した前受け金について質問をいただきました。建設業特有の未成工事受入金です。本日は建設業に特有の勘定科目についてご案内をしていきます。

建設業は着工から完成までの工事期間が長く、決算期間に収益が生じないことがあります。このような事態を避けるため、建設業では一般の会計とは異なる会計方法が定められています。これを「建設業会計」いいます。

「建設業会計」では、「建設業法施行規則」に基づいた専門的な勘定科目を用います。建設業会計には特有の知識が必要であり、建設業経理士のような専門資格が設けられています。これにより、建設業における財務の正確性と透明性が保たれています。

一般会計との違いについて

貸借対照表

完成工事未収入金(資産)
一般会計:売掛金
完成工事高に計上した請負金額のうち未だ回収できていないもの

未成工事支出金(資産)
一般会計:仕掛品
完成工事高に計上していない工事について支出した費用

工事未払金(負債)
一般会計:買掛金
完成工事高に計上した工事に支出した費用うち支払いが済んでいないもの

未成工事受入金(負債)
一般会計:前受金
完成工事高に計上していない請負金額のうち先に受領したしたもの

 

損益計算書

完成工事高
一般会計:売上
建設業の売上金額

完成工事原価
一般会計:売上原価
完成工事にかかった直接の費用(材料費・労務費・外注費・経費)

完成工事総利益
一般会計:売上総利益
完成工事高から完成工事原価を差し引いたもの

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貸借対照表の資産である、未成工事支出金に入れた支出は、決算をした期中には費用になっていません。
支出した現場を完成工事高として計上していないためです。その現場が完成工事として処理したときに、資産から損益計算書の完成工事原価に振り替えられて、費用になります。

貸借対照表の負債である、未成工事受入金に入れた収入は、決算をした期中には完成工事高にも費用にもなっていません。その現場が完成工事として処理したときに、負債から損益計算書の完成工事高と完成工事原価に振り替えられます。

収益の計算基準は、工事完成基準と工事進行基準の2つがありますが、一般的なのは工事完成基準です。
工事が完成した時をもって、売り上げと費用を計上します。完成前に受け取ったり、支払ったりしたものについては、貸借対照表の未成工事の科目に入れておいて後で処理をしています。

決算期をまたいで注文された仕事が完了することは、建設業によくあることですね。そのため上記のような勘定科目が必要となります。

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建設業経理検定試験について

建設業経理士検定試験は、建設業の経理業務に必要な専門知識と処理能力の向上を目指す資格試験です。「建設業経理士検定試験」(1級と2級)は、建設業法施行規則第18条の3に基づく「登録経理試験」として実施しており、「建設業経理事務士検定試験」(3級と4級)は(一財)建設業振興基金独自の試験として実施しています。

1級と2級の検定試験に合格すると、合格日から5年を経過する日が属する年度の年度末まで、経営事項審査で「公認会計士等の数」として加点されます。この期間が過ぎた後は、「登録経理講習」を修了することで評価の対象となります。

 

試験の内容について

試験は学歴等にかかわらずどなたでも希望の級を受験することができます。なお、1級は原価計算、財務諸表、財務分析の3科目から成る科目合格制をとっており、3科目全てに合格すると1級資格者となります。同日に1級の複数科目を受験することは可能ですが、1級と別の級を同じ日に受験することはできません。

 

1級

試験内容:建設業原価計算、財務諸表、及び財務分析
上級の建設業簿記、建設業原価計算及び会計学を修得し、会社法その他会計に関する法規を理解しており、建設業の財務諸表の作成及びそれに基づく経営分析が行えること。
※1級の各科目の合格は、合格通知書の交付日から5年間有効です。

2級

試験内容:建設業の簿記、原価計算及び会社会計
実践的な建設業簿記、基礎的な建設業原価計算を修得し、決算等に関する実務を行えること。

3級

試験内容:建設業の簿記、原価計算
基礎的な建設業簿記の原理及び記帳並びに初歩的な原価計算を理解しており、決算等に関する初歩的な実務を行えること。

4級

試験内容:簿記のしくみ
初歩的な建設業簿記を理解していること。

 

令和7年度試験について

令和7年度 上期試験について(1・2級)

申込受付期間
令和7年5月13日(火)~ 6月12日(木)

受験地

北海道・東北札幌 青森 盛岡 仙台 秋田 山形 福島
関東水戸 宇都宮 群馬 埼玉 千葉 東京 神奈川
中部新潟 富山 金沢 福井 甲府 松本(長野県) 岐阜 静岡 名古屋
関西津 滋賀 京都 大阪 神戸 奈良 和歌山
中国鳥取 松江 岡山 広島 山口
四国徳島 高松 松山 高知
九州・沖縄福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄

受験票発送予定日
令和7年8月13日(水)

試験日
令和7年9月7日(日)

合格発表日
令和7年11月14日(金)

受験料

級・科目受験料等
(税込)
1級(1科目)8,120円
1級(2科目同時)11,420円
1級(3科目同時)14,720円
2級7,120円

令和7年度 下期試験について(1~4級)

申込受付期間
令和7年11月11日(火)~ 12月11日(木)

試験日
令和8年3月8日(日)

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この記事を書いた人

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塩﨑 宏晃

2003年行政書士登録。
建設業許可・経営審査業務の実務経験19年。
行政書士業務を通じて現場で働く方の縁の下の力持ちとなることがモットーです。
近年は建設キャリアアップシステム、特定技能ビザにも取り組んでいます。
お客様は一人親方、サブコン、地方ゼネコン、上場メーカーなど様々。
毎年200社以上のお客様と直接お会いし、ご相談を承っています。
2023年から申請のオンライン化が本格スタートしますので、
これを機に遠方のお客様ともご縁を頂ければと考えております。