建設業に従事されている皆さま、日々の業務においては、現場作業が中心となり、経理や勘定科目についてはあまり馴染みがないかもしれません。本日は、そのような皆さまにもぜひご理解いただきたい『貸借対照表 負債の部』についての、解説をさせていただきます。
今回は『入門編』として、各項目を簡潔にご解説しておりますが、『さらに詳しく知りたい』『この部分が理解しづらい』といったご質問やご不明点がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。
負債の部① 流動負債について
支払手形とは?
営業取引に基づいて発生した手形債務をいいます。手形に記載された期間内に、記載された金額を支払うことを約束するもので、代金の支払いを済ませると手形債務は消滅します。
工事未払金とは?
工事費の未払額をいいます。(工事原価に算入されるべき材料貯蔵品購入代金等を含みます。)
ただし、税抜方式を採用する場合も取引に係る消費税額及び地方消費税額を含みます。
短期借入金とは?
決算期後1年以内に返済されると認められる借入金をいいます。(金融手形を含みます。)
銀行などの金融機関や関連会社からの借入金の残高等が挙げられます。
リース債務とは?
ファイナンス・リース取引におけるもので決算期後1年以内に支払われると認められるものをいいます。1年以内に支払期限が来るものは流動負債に分類され、1年を超えて支払期限が来るものは固定負債に分類されます。
未払金とは?
営業に関係しない取引の債務で、決算期後1年以内に支払われると認められるものをいいます。広告宣伝費や事務用品費などの販売管理費や、固定資産の購入に対する未払い分が該当します。
未払費用とは?
未払給与手当、未払利息等継続的な役務の給付を内容とする契約に基づいて決算期までに提供された役務に対する未払額をいいます。未払金は商品やサービスなどの提供がすでに終わっているのに対し、未払費用は継続的な契約の途中で計上する点が異なります。
未払法人税等とは?
法人税、住民税及び事業税の未払額をいいます。確定決算を行うと、納税額を合理的に見積もることができるため、その見積額は「未払法人税等」として負債に計上されます。
未成工事受入金とは?
受領した請負代金のうち完成していないものをいいます。工事が完成すると完成工事高に仕訳けされて0になります。
預り金とは?
営業取引に基づいて発生した預り金及び営業外取引に基づいて発生した預り金で決算期後1年以内に返済されるもの又は返済されると認められるものをいいます。
会社が役員・従業員・取引先などが支払うべきお金を一時的に預かっている際に使う勘定科目です。
前受収益とは?
前受利息、前受賃貸料等をいいます。前受収益は負債に分類されます。これは、代金を受け取ることで、後で商品やサービスを提供しなければならない責任が生じるためです。
〇〇〇引当金とは?
修繕引当金とは?
完成工事高として計上した工事に係る機械等の修繕に対する引当金をいいます。
完成工事補償引当金とは?
引渡しを完了した工事に係る契約不適合を理由とした履行の追完の請求、損害賠償の請求、代金の減額の請求又は契約の解除に対する引当金をいいます。
工事損失引当金とは?
工事原価総額等が工事収益総額を上回る場合の超過額から、他の科目に計上された損益の額を控除した額に対する引当金をいいます。
役員賞与引当金とは?
決算日後の株主総会において支給が決定される役員賞与に対する引当金をいいます。(実質的に確定債務である場合を除きます。)
負債の部② 固定負債について
社債とは?
会社法(平成18年法律第86号)第2条第23号の規定によるものをいいます。(償還期限が1年以内に到来するものは、流動負債に記載します。)
社債は、企業が資金を集めるために発行する債券のことで、事業債とも呼ばれます。企業が投資家から直接お金を借りる方法で、貸借対照表では負債として扱われます。
長期借入金とは?
流動負債に記載された短期借入金以外の借入金をいいます。
・銀行からの借入金
・役員からの借入金
・親会社や関連会社からの借入金
・個人からの借入金
などが挙げられます。1年を超えて返済する予定の借入金であれば、長期借入金とみなされます。
リース債務とは?
ファイナンス・リース取引におけるもののうち、流動負債に属するもの以外のものをいいます。決算終了後、1年を超えて支払の期限が到来するものは固定負債となります。
退職給与引当金とは?
役員及び従業員の退職給与に対する引当金をいいます。将来支払われる退職金のうち、現在までに発生している分を見積計上するための勘定科目です。
負ののれんとは?
合併、事業譲渡等により取得した事業の取得原価が、取得した資産及び引き受けた負債に配分された純額を下回る場合の不足額をいいます。発生する主な原因には、簿外債務や訴訟リスク等があります。
今回は『入門編』として、各項目を簡潔にご解説しておりますが、『さらに詳しく知りたい』『この部分が理解しづらい』といったご質問やご不明点がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。
関連記事 完成工事原価報告書には何を記載するのか?